インド TPRI

概要

overseas_031.jpgインド/ TPRI: TPR Autoparts Mfg.India Pvd.Ltd.
製造販売拠点(シリンダライナ)
インド ラジャスタン州
Plot No.SP2-37 & SP2-38(A) Japanese Zone Phase-Ⅲ, New industrial Complex (Majrakath) Neemrana 301705, District
Alwar, Rajasthan, India.

海外赴任者インタビュー

大泉 和彦

TPRIの近況と、インドでの生活について報告をさせて頂きます。

TPRI (TPR AUTOPARTS MFG.INDIA P.LTD)はインド北西部のラジャスタン州ニムラナに位置しており2008年に設立され、2023年で15周年を迎える事ができました。無事に15周年を迎えられたのも、これまで駐在された諸先輩方をはじめ、御支援を頂いている皆様、従業員の皆様のおかげと感謝しております。

TPRIの主なカスタマーはインドにて乗用車販売シェアの約半分を占めるマルチスズキの他、ホンダ2輪・汎用やルノーになります。最近ではTPRIでは初となるトヨタ向けライナも量産を開始しています。近年インドの2輪・4輪市場は急成長をしており、2019年度の45万本/月から3年で2倍の90万本/月に増えました。これに伴い鋳造ラインは2020年7月に新ラインが量産稼働開始し2ラインになりました。加工ラインは赴任した当時の6ラインから順次増設しており、2022年度中に全9ライン(CNC18台)になり100万本/月の生産にも対応出来る様になる見込みです。 TPRIに赴任した2021年1月からまもなく2年以上経過しました。発令はその1年前にされていたのですが新型コロナの影響で渡航出来ず、山形からWEBでリモートワークを行っていました。日本人スタッフが現地不在の中での鋳造新ライン立上げや新品種立上げ対応など、現地にいればすぐに解決出来る事もなかなか進まずにもどかしい思いをしました。

 インドでは頻繁に停電する為、工場内には非常用ディーゼル発電機が設置されています。発電能力750KVAが5台と200KVAが1台備えられており、停電時でも非常用ディーゼル発電機.jpg溶解を含めて通常通り生産出来る能力があります。ところが今年の10月から大気汚染防止の為にディーゼル発電機の使用が禁止になりました。停電時に生産が出来なくなる事も問題ですが、鋳鉄を溶解・保持する炉への冷却水が止まってしまうと約5分で水が沸騰し、炉の破損や最悪の場合水が噴出し水蒸気爆発にデリーの大気汚染.jpg至ってしまいます。ですのでディーゼル発電機を使用せずに最低限炉の冷却のみを実施する対応を実施しています。この様にインドではかなり強引で一方的な内容の法令が急に発令される事が多々あり、しかも明日から適用、といった事も日常茶飯事です。日本では気にせずに良い様な事で毎日振り回されております。

 インド人の国民性についてですが、親日国ですので基本的には日本人に対してリスペクトしており友好的です。ただ一方で自分の考えを押し通そうとする頑固な一面もあり、納得するまで説得しなければ行動してくれません。また時間にもルーズで、5分後に仕事が終わると報告してから数時間経過しても進んでいない事が普通です。日本人と接する感覚と異なる点が多々あり戸惑う事が多いです。 

アパート前の道路を歩くラクダ.jpg

インドでの生活についてですが、まず交通事情は非常に悪いです。片側3車線あるハイウェイを車線に関係なく、5列にも6列にもなり好き勝手に走ります。車やバクだけでなく、3輪車や40キロ以上出ているトラクター、果てには逆走車や6人乗りのバイク、牛やラクダも走っています。譲り合いの精神は全く無く、邪魔な車両や歩行者はホーンと幅寄せで蹴散らしていきます。ここが日本だったら全員あおり運転でニュースに出る事になります。アパートのすぐ脇が大きな道路なのですが、一晩中ホーンが鳴り止む事はありません。

インドの鳩.jpg 日本では鳩による糞害に悩まされていますが、インドでも同様の問題があります。シャッターを閉めていても人間が扉を開けて出入りするのを見はからって工場内に侵入し水を飲んでいます。カラスの様に頭は良くないので、換気扇に首を切断されていたり防鳥ネットに引っ掛かり窒息していたりします。見た目は日本の鳩と同じですが、鳴き方のリズムがちょっと違います。

インドでは新型コロナの他にもデング熱、破傷風、腸チフス、狂犬病といった感染症にも注意が必要です。蚊取り線香を使用したり、野良犬には近づかない様に気を付けています。度々腹痛にも悩まされるのですが、本当に酷い症状の時には抗生物質のお世話に何度かなりました。抗生物質の効果は素晴らしいです。

 現在世界的に内燃機関に対する風当たりが強くなってきていますが、インドでは今後しばらくはライナの需要が伸び続けていく予定です。今後TPRIはますます重要な拠点になっていくと思われますので、生産・コスト・品質・安全等のレベルアップをしっかり進めていき、将来に向けてバトンを繋いでいきたいと思います。